今週は月曜日に速報版として、オリンパスの社長解任問題に関する大前学長の解説をレポートさせていただきました。
オリンパス問題については、こちらをご覧ください。
しかし、社長に復帰した菊川会長が再度辞任するなど、問題は混迷を極めていますね…。
そして、10/26に報道ステーションで放送された高山新社長の記者会見の模様を見る限り、菊川会長による院政はまだ続いているようです…。
正直、今回のお家騒動は日本の恥を世界にさらしているように思います。
せめて、海外の捜査機関の元ではなく、日本の司法の手で全容が解明されることを切に望みます…。
PS
今週の大前研一LIVEはOlasonic社のTW-D7IP(W)というスピーカーを使って視聴したのですが、大里希世キャスターの声はなんだか艶っぽく聞こえたし、大前学長の声も深みが増してダンディーな感じがしましたw
Olasonicのスピーカーに関する詳しいレビューはこちらをごらんください。
オススメです!w
でわ、今週のトピックはこんな感じです。
トピック●スマートフォン市場 サムスンがスマートフォン世界首位●米原油流出事故 事故賠償を前倒し●タイ洪水被害 日本メーカーに大きな影響●大王製紙 井川前会長を捜査へ●もしも大前研一が「会計検査院の重松博之院長だったら」
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●スマートフォン市場 サムスンがスマートフォン世界首位
スマートフォン市場が、韓国のサムスン電子とアメリカのアップルの2強時代に突入しました。
2011年7〜9月期がサムスン電子がアップルを抜いて首位となったと見られるが、アップルもiPhone 4Sを発売し全世界での販売台数は3日間で400万台にのぼったと見られている。
・大前学長の意見
サムスン電子のハードウェアメーカーとしての面目躍如というところである。
アップル1社の販売力では限界があり、どうしても販売台数が落ち込んでしまっている。
アップルの販売台数はノキアとほぼ同等の数字であり、物足りない感じがする。
アップルはiOSを自社だけで抱え込むのではなく携帯電話を開発する各メーカーへ提供し、アプリの販売による収益によって利益をあげる構造に変化させることが重要であると考える。
・chawanの意見
Steve Jobs前CEOが亡くなったことによって、アップルの経営方針がどのように変化するのか気になります。
ワタクシの目にも、現在のiPhoneが置かれている状況は過去にMacとWindowsが覇権争いをしていた状況と重なり、このままの状況をつづけているといずれiPhoneはじり貧に追い込まれ、現在のMacとWindowsのような状況となってしまうように思います。
Steve Jobs亡き今、iPhoneに革新的なアイデアが搭載されるとはちょっと考えづらいですしね…。
そろそろネタ切れなんではないでしょうかw
ちなみに、ワタクシ個人的にはiPhone 4Sのスペックではまったく興味がそそられません。
しかし、先日ブロガーイベントに参加したときに試用させてもらったイーモバイルのSony Ericsson Mini S51SEについては、予想以上に使いやすかったので前向きに購入を検討中であります。
ぢつは、以前からデジタル系ブロガーの端くれとして、評価用のAndroid端末を1台欲しいと考えていたのですヨ…。
問題はバッテリーの容量が少ないということなのですが、1日くらいは保ってくれるのかなぁ…。
Sony Ericsson Miniに関するレビューについては、こちらの記事を見てくださいw
●米原油流出事故 事故賠償を前倒し
イギリスの石油大手BPはメキシコ湾の原油流出事故で賠償金の支払いを、当初の予定より1年早い2012年末までに完了させる終えることができる見込みを明らかにしました。
・大前学長の意見
これはスゴイことである。
福島原発事故の賠償金の支払いは5〜10年かけても完了せず、遅れる一方となることが予想される。
原油流出事故では、アメリカ政府がBPや日本勢を含むBPの関連会社に対して訴訟を起こし追求した結果、必要な補償はBPを含む民間の手で賄うこととなった。
この結果、漁師など地元の住民への数兆円にもののぼる補償が想定より早まることになった。
また、オーストラリアの洪水の際には、災害発生当時の現場で一時的に消費税を上げる時限的な法律を決定することによって、国民の理解を得ることに成功した。
日本の場合は、原賠法を成立させ東京電力を救済することによって国民にツケを回すことになってしまったが、その原資については依然紆余曲折が続いている状況となってしまっている。
これは日本政府の対応が、機動性に欠けていることを単著に示している。
しかも、将来的に混乱することが予想され、誰も幸せになることができないような状況に陥ってしまっている。
海外と日本の政治手法の違いを感じざるを得ない。
・chawanの意見
日本の原発事故の補償に関しては、数百ページにものぼる書類が被災者のもとに届いただの混沌とした状況が続いているようですね…。
原発事故だけでなく、日本の政治には機動性と決断力に欠けているように思います。
沖縄の基地や成田空港などの問題についても、ただひたすら事態を引き延ばしている一方ですよね?
野田総理の党内勢力への求心力のなさを示しているようにも感じますが、きっと自民党政権でも同じことが起こったと思います…。
まぁ、自民党は民主党より多少マシではあると思いますがw
日本の場合は、半数以上の同意でなく全員が同意しなければ物事がうまく進まないような状況に陥ってしまっていると強く感じます。
ある程度の犠牲を払ってでも、迅速に法律を制定できるような場合もあるのではないでしょうか?
いずれにせよそろそろ小泉元総理のようなリーダーシップを発揮できる総理が現れることを期待します…。
●タイ洪水被害 日本メーカーに大きな影響
日本経済に大きな影響を及ぼしています。
アユタヤ県にある工業団地にあるホンダの工場で洪水による浸水によって退避命令が出された。
トヨタ、マツダ、いすずなどもそろって工場の稼働を停止している状況となっている。
・大前学長の意見
タイは第2の東北地方と呼ばれている。
東日本大震災によって東北地方の被害が甚大となったため、タイでの生産を強化する動きがあったが、そういった矢先に洪水となってしまった。
しかも、ここまで被害が深刻なことになるとは誰も想定していなかった。
今回は400社近い企業が被害を受けており、その影響は甚大である。
これからは日本企業が海外へ進出する際には、地質調査など幅広い観点から調査した上に、日本の工業団地に工場を建設するような基準をクリアさせた上で決定すべきである。
この図に示すように、非常に広範囲にわたって日本企業が被害を受けている。
しかも、これらの工業団地に進出している企業の半数以上が日本企業である。
タイでここまで深刻な被害がでるのは予想外であり、日本企業がタイへ進出するようになってはじめてのことである。
今回の洪水では2メートル近く浸水している地域もあり、ホンダなどでは出荷前の自動車が水没してしまった状況である。
日本企業は東日本大震災による生産の落ち込みをタイで増産することによって補おうとしていたが、タイがこのような状況に陥ってしまった。
「神様という存在は公平では無い」そんな気がする。
・chawanの意見
工場の被害ばかりがクローズアップされていますが、タイは世界有数の米所としても有名です。
米などの農作物への被害がどうなっているのか気にかかります…。
しかし、日本の余っている米を輸出したとしても、米の種別が異なるから受け入れづらいでしょうね…。
しかも、福島原発事故によるセシウムの累積も海外の人は特に気になるでしょうし…。
ちなみに、個人的に数年前友人達とタイを訪れたことがあります。
そのときにはアユタヤへ行って遺跡を見学して、こんなおバカなこともやりました… (・_・;)
いまはこれらの遺跡も浸水してしまっているのでしょうね…。
一刻も早く事態が収束することを願います。
●大王製紙 井川前会長を捜査へ
大王製紙の創業家出身で、前会長の井川氏がグループ企業から借りた84億円もの資金の多くを返済していないことが判明した問題で、東京地検特捜部が捜査に乗り出したことが明らかになりました。
・大前学長の意見
その後の調査で、井川前会長が借りて返済していない資金は総額100億円を上回ることが判明した。
これらの資金の使途は、個人的な問題やマカオやラスベガスでのギャンブルに使われた模様であるが、それだけでこれだけの莫大な資金を使ってしまったとは信じられない。
オリンパスと同じように、被社会的な活動をするフロント企業などへ資金が流れている可能性も考えられるのではないか。
この2つの事件は、日本の企業史における暗い例として歴史に残ることになりそうだ。
・chawanの意見
大王製紙に関しては東京地検が動き出したようですが、オリンパスの方はどうなっているのでしょうか?
あまり報道で騒がれないことを含めて、なんらかの隠蔽工作がなされているように感じます。
日本全国の都道府県で暴力団の資金源を絶つような条例が施行されましたが、オリンパスや大王製紙の事件となんらかのつながりがあるように思えて仕方ないです。
しかし、たとえつながりがあったとしても、表社会には明らかにならないのでしょうね…。
そのくらいマスコミの抱える闇の部分は深刻なモノとなってしまっているように感じます。
●もしも大前研一が「会計検査院の重松博之院長だったら」
JALや西武などに対する投融資の現況をどのように判断し、国民負担を減らす方向に進めるか?
会計検査院の仕事は国会などの政府機関だけにとどまらず、JALや西武などの民間企業への融資も実施しており多岐にわたる。
政治がらみの投資が政策投資銀行を通じて民間企業に対してなされている現実に対して、疑念を抱かざるを得ない。
通常ではこのような民間企業への投資については金融庁によって監査されるべきところだが、政策が関与してしまっているため政策投資銀行の監査は会計検査院によってなされることになる。
したがって、安易に融資したお金を回収できなかった場合、国民の税金によって補填されることになる。
これをいかに少なくできるか考えてみる。
会計検査院というのは三権から独立した存在となっており、3人の検査官からなる「検査官会議」と「事務総局」で構成されている。
そして、事務総局の中で実際に会計検査にあたる人員は970人となっており、国の収入および支出の正当性を検査した検査結果を内閣へ報告し、是正をせまる組織となっている。
国が50%以上を出資する日本銀行などの240もの法人が必要的検査対象となっており、政策投資銀行ももちろんこの中に含まれる。
そして、必要と認めた場合に検査する選択的検査対象については、NTTや首都高速など4900もの団体が数えられる。
検査結果は内閣への報告が義務づけられており、その都度記者会見を開き発表することになっている。
検査の流れとしては、決算結果報告をまず内閣へ報告した後に国会へ回され、衆議院では決算行政監視委員会、参議院では決算委員会に報告されることになっている。
指摘件数は年々増加しており、指摘金額については2009年に1兆7904億円に達するなどうなぎのぼりに増加している傾向にある。
これまでに指摘された主な内容としては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が旧国鉄から引き継いだ土地の売却益等からなる余剰金が、1兆2000億円に達していたことが判明したことが挙げられる。
監査しなければならない法人は必須と任意を併せて5100にものぼるが、金融庁のような権限もなく、1200名の職員では対応するのが困難な状況となっている。
会計検査院の報告よると、JALへの公的融資については国民負担が470億円に達したとされている。
これは国土交通省がJALに対して安易に融資した結果であり、政策投資銀行の出資の基準を明らかにする必要がある。
また、東日本大震災からの復興に必要な融資については、東京電力への融資を民間銀行から断られた結果、政策投資銀行から5000億円もの融資を受けることになった。
政策投資銀行は政治家から依頼をうけると断ることができず、回収の見込みが立たない状況でも融資せざるを得ない状況に追い込まれているケースもある。
アジア太平洋トレードセンターやハウステンボス、JALなど破綻した企業への融資も行われている。
こういった企業については会計検査院が破綻を認定しないと、政治家による圧力によって焦げ付かせる融資金額が増加する一方となっている。
会見検査院は日本政策投資銀行が政府の依頼を受けてダイエーや西武などへの融資に対して検査を実施しているが、これらの融資を実行することについては権限は持ち合わせていない。
この状況は気の毒である。
政策投資銀行はいくつかの政府系銀行が合併して設立されたが、融資に対する審査能力があるとは言えない。
3大銀行に集約された現在においては、3大銀行からの融資を断られた企業に対しては政策投資銀行であっても融資するべきではない。
過去には政府の便利な財布として融資を実行したが、会計検査院の審査を受けてギブアップするようでは政策投資銀行の存在意義が問われることになるだろう。
危機対応への融資については5兆円もの融資残高があり、最近、融資先としてよく選ばれているのが日本政策投資銀行であるが、金額が大きくなったため会計検査院による審査が追いつかなくなってしまっている。
したがって、会計検査院は人員を増強するか、金融庁に審査を任せるべきである。
もしくは貸し出しのルールを厳格なものとすべきである。
そして、ルールがないまま政策投資銀行が融資を実行するのは、会計検査院がとめるべきである。
具体的には西武やJALなどの民間企業に対する融資はとめるべきである。
こういったところに会計検査院の人員を割くのはもったいない。
政府の中にももっと検査すべきところがあるので、そちらを優先すべきである。
・chawanの意見
長くなることを覚悟の上でこのトピックを選択しましたが、想像以上に長かった…。
でも、苦労しただけに、会計検査院の役割と問題点がよくわかりました!w
大前学長 ありがとうございます m(_ _)m
以上です